こんにちは。
個人事業者の場合、その配偶者などが当該事業に専業として働いており、原則他の仕事を行ってない場合、青色申告の場合は青色事業専従者として、当該配偶者等に支払った給与額を、必要経費に算入することができます。
一方、本要件に該当しない場合、原則配偶者や家族に支払った給与は、事業所得における必要経費に算入することができない規定となっています。
この件について、下記の判決がタビスランドに掲載されていたので、引用します。
https://www.tabisland.ne.jp/news/tax/2017/0620.html
-以下引用-
2017.06.20
他に職業を有することから青色事業専従者には該当しないと認定
税理士業等を営む者が青色事業専従者の妻に支払った給与を事業所得の金額の計算上、必要経費に算入できるか否かの判断が争われた事件で東京地裁(舘内比佐志裁判長)は、その職業に専ら従事することが妨げられないと認められる者に該当せず、他に職業を有する者に該当し、かつ事業専従期間が6ヵ月を超える年もないことを理由に青色事業専従者には該当しないと判断、税理士側の訴えを棄却した。
この事件は、青色事業専従者の妻に支払った給与を事業所得の金額の計算上、必要経費に算入して申告したところ、原処分庁が、妻が他に職業を有して税理士業に専ら従事する者とは認められないことを理由に青色事業専従者には該当しないと否認、増額更正の上、過少申告加算税の賦課決定処分をしてきたため、税理士がその取消しを求めて提訴したという事案である。
税理士側は、「職業に従事する期間が短い者」、「その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」の要件事実を無視して事業専従期間を判断するのは違法であり、課税当局側に「事業に専ら従事することが妨げられないと認められる」ことを根拠付ける事実の主張・立証責任があるなどと主張して取消しを求めた。
判決は、事業から対価を受ける親族がある場合の必要経費の特例(所法56、57)の趣旨の解釈をした上で、施行令が「他に職業を有する者」である期間は原則、事業専従期間に含まれないとしつつ、それらの者のうち「その職業に従事する期間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」を例外的に除いている(所令165②二)ことに触れ、この例外に該当するかどうかは他の職業に従事する期間が短く、その事業に専ら従事することが妨げられないことが一見して明らかであるかどうか、実質的にその事業に専ら従事することが妨げられないと認められるかどうかによって判断するのが相当という考えを示した。
その判断の下に、「その職業に従事する時間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」には該当しないと認定、各期間を通じて「他に職業を有する者」であったことから、事業専従期間が6ヵ月を超える年はなく、青色事業専従者には該当しないと判断して、税理士側の訴えを棄却した。
(2016.09.30東京地裁判決、平成26年(行ウ)第355号)
提供元:21C・TFフォーラム(株式会社タックス・コム)
-引用ここまで-
青色事業専従者制度は時代遅れか?
そもそも、税理士業務関係者においても、この
「その職業に従事する期間が短い者その他当該事業に専ら従事することが妨げられないと認められる者」
という例外規定を知らない方もいらっしゃるかもしれません。それだけ、実務においても適用例が少ないものと思われます。
個人的には、男性も女性も、働き方が多様化してきている現代において、この青色事業専従者制度の要件自体が、個人事業者の配偶者の社会進出を抑制してしまい、時代遅れとなってきている制度であると感じます。女性の社会進出を促進するため、配偶者控除制度も改正されますが、将来的には、この青色事業専従者や、白色申告の専従者控除の規定も含めて、改正されていくことを望みます。